相続税申告/対策の事例紹介

(相続税申告)売買契約中の土地の評価について

相談内容

相続開始時点で売買契約中の土地の評価はどのようになるのでしょうか。

また、小規模宅地等の特例適用はできるのでしょうか。

<前提>

甲を売主、乙を買主とする土地の売買契約を締結後、
不動産の引き渡しを終える前に売主である甲(又は買主である乙)が死亡しました。

売買契約締結の日  令和1年1月1日
相続開始日     令和1年2月1日
土地の引き渡し日  令和1年3月1日

手付金(1月1日) 1,000万円
引渡し日の残代金  5,000万円(土地売買価格合計6,000万円)
土地の評価額    4,800万円(財産評価基本通達による評価額)

 

ご回答

売買契約中に相続が発生した場合の土地の評価については、平成3年1月11日付で国税庁から資産評価企画官情報第一号が出されました。

その内容によると、以下のとおり評価するものと考えます。

 

1.売主に相続があった場合

売主に相続が発生した場合には、当該売買契約に基づく「残代金請求権」として評価します。

上記<前提>の場合には、原則としては、売主である甲の相続税評価は、「残代金請求権」である5,000万円として評価することとなります。

 

2.買主に相続があった場合

買主に相続が開始した場合には、「引渡請求権等」とされ、承継した債務は「残代金支払債務」となります。

(※)買主に相続が発生した場合において、当該土地又は建物等を相続財産とする申告があったときにおいては、それが認められます。

   この場合における当該土地等又は建物等の価額は、財産評価基本通達により評価した価額になります。

   なお、その場合、売買契約にかかる引渡請求権は相続財産とはしません。

上記<前提>の場合、買主である乙の相続税評価は、「土地」としての相続税評価額である4,800万円として評価することとなります。

 

3.小規模宅地等の特例適用について

資産評価企画官情報第一号に記載はありませんが、以下のとおりと考えます。

売買契約中(売主)の土地 ・・・ 当該財産を「残代金請求権」として評価するため、小規模宅地等の特例は適用できないものと考えます。

売買契約中(買主)の土地 ・・・ 当該財産を「土地」として評価するのであれば、小規模宅地等の特例を適用できるものと考えます。

 

4.【その他の注意事項】売主に相続が発生した場合の譲渡所得の申告について

土地を譲渡した場合における、譲渡所得税の申告は、引渡日を譲渡の日として申告するのが原則ですが、

納税者の選択により、契約日を譲渡の日とすることも可能です。

つまり、納税者の選択により、被相続人が譲渡したものとするのか、相続人が譲渡したものとするのか、

いずれかを選択することができるということです。

また、それぞれのケースにおいて、適用できる特例等が異なるので注意が必要です

申告者

住民税の申告

取得費加算の特例 譲渡所得税の債務控除
相続人(確定申告) ×(申告義務あり) 〇(使える) ×(使えない)
被相続人(準確定申告) 〇(申告義務なし) ×(使えない) 〇(使える)

 

つまり、譲渡所得の申告については、申告者を相続人と被相続人のどちらにするのかを検討することで、相続税が節税できる可能性があるということです。

これらの論点は非常に計算が複雑で難しいため、専門家に相談しながら検討することをお勧めします。

 

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